成膜装置においては、プロセスそのものが当然ながら一番大切となりますが、生産においてはワークのハンドリングも大切なポイントです。

成膜装置においては、プロセスそのものが当然ながら一番大切となりますが、生産においてはワークのハンドリングも大切なポイントです。ワークを保持する搬送トレイ(キャリアともいいます)では、ワーク(基板と呼ばれる板状のものが多いと思います)を安定的に保持する必要があります。上向き成膜で、トレイにワークを載せるだけのタイプであれば、ワークの保持は「トレイに置くだけ」ということもありますが、縦型であったり、搬送中の保持を安定化させる必要がある場合には、ワークをトレイに固定するための仕掛けが必要となります。

よく使われるのが、トレイとマスクでワークをサンドイッチする方法です。マグネットで固定する方法が良く使われます。マスクは名前のとおり、ワークの外周部などに膜付けしないためのマスキングとして使用されます。もうひとつの方法が、トレイにつけた固定具(クランプ機構など)でワークを保持する方法です。よくある方法としては外部機構による操作でのプランプ開閉などがあります。

参考特許:特許第5961918号 基板クランプ装置

ワークの保持方法は、①搬送中にワークを脱落させないこと、②搬送中に振動などでワークとトレイの接点を発塵させないこと、③ワーク保持のための動作が安定して、ハンドリングミスが起こらないこと、④段取り作業であって真の付加価値動作ではないワークハンドリングに過度のコストをかけないこと、などが要求されます。連続搬送方式のインライン成膜装置などでは、とくに動作の安定性が重要となります。またトレイは成膜室に搬送され、熱やプラズマにさらされるため、それ自体に電動などの精密機構を持たせにくいものとなります。加熱によるトレイの熱伸びや反りによるハンドリングミスを起こさないようにすることも重要です。

課題としては、外部機構を使った固定動作で、ワークと固定具(クランプ等)の接点や、ワークとトレイの接点で接触によるワークへのダメージや発塵が少なからず発生することです。ワークもトレイも個々に寸法や反りの公差をもつため、保持動作で完全にストレスをなくすことは難しいです。とくに大型装置では、クランプが閉まるときに、その音でびっくりするくらいの衝撃が生じているケースもあります。

そのような、ワークのハンドリングに応用が可能な技術があります。それは、ダンパー機構を持った蝶番(ヒンジ)の活用です。

クランプ機構動作は色々な研究がされており、有名な所では、「トグルクランプ」(商標)というリンク機構を活用したクランプがあります。それでも、機械的動作を単純にして、かつ衝撃を提言するためには、さらに工夫が必要となります。それが、ダンパー機構をもったヒンジです。この技術は2018年6月に日本ものづくりワールド2018で下西技研工業が出展しているものです。

簡易ダンパー機構を備えたヒンジは、動作速度が上がるほどトルクが上がり速度抑制効果が生まれます。

簡易ダンパー付きチルト

写真は下西技研工業HP

ホームページでの記載によると、用途としては、産業用機器、OA機器、医療機器など様々にあり、応用範囲の広い優れた要素技術です。展示会で話を伺ったところ、真空環境での使用も可能との事ですので、成膜装置のワーク保持機構への応用は有効と考えられます。保持機構を従来どおりに外部機構によるクランプ開閉として、閉動作をばね力で閉める際に、等技術のダンパーでクランプ動作の加速を抑制する方法が可能と考えられます。

成膜装置でこの技術が有効活用できる箇所が、他にもあります。それは、チャンバーやカソードの重量部です。これらのユニットで怖いのは、重量物のハンドリングで勢いをつけすぎたときの装置への衝撃によるダメ―ジや、はさまれによる負傷の危険性です。メンテナンス作業時に操作をするため、メンテナンス作業時間を短縮するために急いでしまうときに危険性が増してきます。ここで、ダンパー機構を活用すると、動作中の過度な加速が抑制されて、装置へのダメージや負傷事故の危険性を軽減することが期待できます。実際のところ、中型装置以上になると、メンテナンス扉の動作はモーター駆動となっていることが一般的で、大型装置ならカソードも駆動系で操作となりますので、人が介在する部分はそれほど多くありません。それでも、人の作業で重い扉や部材をハンドリングするケースは多くあるため、ダンパー機構を取り入れることは大変有効と考えられます。装置メーカー様や装置のユーザー様はぜひご検討ください。

 

日本ものづくりワールド2018 東京ビッグサイト 2018年6月20日~22日

出展者:下西技研工業 東53-37

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